操縦ライセンス制度について
操縦ライセンス制度とは無人航空機を飛行させるのに
必要な技能(知識及び能力)を有することを証明する資格制度です。
これは国家資格であり従来の民間資格とは異なるものとなります。
一等無人航空機操縦士と二等無人航空機操縦士の2種からなります。
一等無人航空機操縦士はカテゴリーⅢの飛行で必要な技能に係る資格となります。
二等無人航空機操縦士はカテゴリーⅡの飛行で必要な技能に係る資格となります。
操縦ライセンス制度試験について
学科試験
一等向け、二等向けの2種類。指定試験機関(国が一者の指定)が
CBT(Computer Based Testing)の方式により実施することを想定。
学科試験の合格証明書の有効期間は2年とし、
その間に実地試験及び身体検査に合格したうえで技能証明の交付申請を行う必要があります。
一等
形式:三肢択一式(70 問)(二等相当の試験問題 50 問+一等の試験問題 20 問)
時間:75 分程度
合格基準:90%以上(二等相当・一等共に 90%以上の正答率)
二等
形式:三肢択一式(50 問)
時間:30分程度
合格基準:90%以上
実地試験
機体の種類(回転翼航空機(マルチローター)、
回転翼航空機(ヘリコプター)、飛行機)に応じた実地試験内容を定めるとされています。
登録講習機関(現ドローンスクール等で指定されたもの)にて講習を受けると実地試験全部免除されます。
合格基準
一等:80%以上
二等:70%以上
身体検査
視力、色覚、聴力、運動能力等について身体基準を満たしているか確認します。
①有効な公的証明書、②医療機関の診断書の提出、③指定機関の検査のいずれかとし、
指定試験機関から有効期間最大1年の身体検査合格証明書を発行する。
民間資格を持っている人はどうなるか?
登録講習機関における学科及び実地の講習時間の減免を可能とするなどで
国家資格取得を促すそうです。
技能証明制度の運用開始(2022 年 12 月)から新たな HP 掲載講習団体の
掲載を原則として停止し、一定の期間を経たのちに、
これら団体の発行する民間技能認証による飛行の
許可・承認の審査簡略化の運用を廃止することとなります。
では、今から民間技能認証を取得するメリットがあるかと言われれば、
私個人はあると感じています。
操縦ライセンスは必須?
では、操縦ライセンスは絶対必要なのでしょうか?
こちらの答えとしては飛ばし方によるとなります。
多くの方が現在飛ばしている第三者の上空を飛ばさない方法
いわゆるカテゴリーⅡB(DID 上空、夜間、目視外、
人又は物件から 30m の距離を取らない飛行であって、
飛行させる無人航空機の最大離陸重量が 25kg 未満の場合)は
資格がなくとも個別に許可・承認を受けることで飛ばせそうです。
しかし、第三者の上空を飛ばさないカテゴリーⅡA(空港周辺、
上空 150m 以上の飛行、催し場所上空、
危険物輸送及び物件投下に係る飛行並びに
最大離陸重量 25kg 以上の無人航空機の飛行)については
無人航空機操縦士の技能証明や機体認証の有無を問わず、
個別に許可・承認を受ける必要があります。
第三者上空を飛ばすいわゆるカテゴリーⅢの場合は国家資格は必須となります。
一等無人航空機操縦士の技能証明を受けた者が
第一種機体認証を受けた無人航空機を飛行させる場合であって、
飛行の形態に応じたリスク評価結果に基づく
飛行マニュアルの作成を含め、運航の管理が適切に
行われていることを確認して許可・承認を受けた場合に限るとさています。
操縦ライセンス取得の想定されるメリット
操縦ライセンス制度が開始されていない段階のため
明確に述べることは難しいですが、
あえていくつか挙げてみたいと思います。
ただし、こちらは制度開始後の空気感により
全く変わってしまう可能性があります。
- カテゴリーⅡBについて資格取得者が一定の条件のもとに
飛行させる際、許可・承認が不要となる。 - 資格を持っていることで社会的評価につながる。
⇒仕事の受注に影響が出る可能性。
車と同じで資格がないと飛ばせないという誤解が広がると
無資格者への発注が控えれれる可能性や
発注時の要件に資格取得が入る可能性があります。 - カテゴリーⅢの要件の1つが一等無人航空機操縦士の取得であり必須である。
- ドローンに関する新制度には新たなルールや罰則が増えることが
検討されており資格取得に向け体系的に学ぶことによりリスク回避できる。
⇒いままで事故がなければあまり表にならなかった違法が
機体登録制度により表に出やすくなります。
許認可が絡む業種では摘発されることにより
重大なリスクが発生する可能性があります。
操縦ライセンス取得の想定されるデメリット
こちらについても制度開始後でないと正確なことはわかりません。
制度開始後の空気感により
全く変わってしまう可能性があります。
- 資格取得費用が掛かる。
- 許可・承認で飛ばせるならわざわざ取得するのは面倒。
- 二等の資格ではできないことができるようになるわけではない。
- 資格を取得するだけではカテゴリーⅢやカテゴリーⅡBの要件を満たすわけではない。
登録講習機関についての記事
⇒こちら
本記事はR4年4月公表の無人航空機の目視外及び第三者上空等の飛行に
関する検討会のとりまとめからの参照と私個人の見解によるものです。
出典:国土交通省ウェブサイト (001478581.pdf (mlit.go.jp))