【山口県】個人事業主(1人親方)の建設業許可

山口県で個人事業主(1人親方)が建設業許可を取得する

山口県で個人事業主(1人親方)は建設業許可を取得することは可能でしょうか?
また、建設業許可を取得した方がよいのでしょうか?

個人事業主(1人親方)は建設業許可を取得できるのか

建設業許可を取得しているのはそこそこ従業員のいる事業所の
イメージが強い方も少なくないと思います。
個人事業主(1人親方)でも建設業許可を取得できのか?と
疑問に思う方もいらっしゃるかもしれません。
結論から述べると、山口県では個人事業主(1人親方でも)
建設業許可は取得可能です。
本来、建設業法では専任技術者は現場へ出ることを想定していません。
しかし、山口県では山口県内の工事に限り専任技術者が現場へ出ることを認めています。
ですが、公共工事において発注者によって専任技術者に関するルールが
異なる場合があり、注意が必要です。

個人事業主(1人親方)でも建設業許可を取得すべきか

500万円(建築一式では1,500万円)以上の工事(材料費・消費税込み)を
請負うには建設業許可が必要とされています。
これは法人でも個人事業主でも1人親方でもそうです。
大きな工事を請負うには建設業許可が必要です。
また、コンプライアンス意識の高まりにより、
金額だけ見れば建設業許可が必要のない工事でも
元請から現場に出入りするには建設業許可を
求められる場合もあります。
実際に、そのような場面に遭遇してからのご相談もあります。

建設業許可の要件

建設業許可の要件は以下の通りです。
なお、営業所は通常要件としてあげませんが
営業所調査もあるためあえて記載しています。

  1. 建設業の経営業務の管理を適正に行う能力があること
  2. 適切な社会保険に加入していること
  3. 営業所に専任技術者を置いていること
  4. 請負契約において誠実性を有していること
  5. 請負契約を履行するに足りる財産的基礎等を有していること
  6. 欠格要件に該当しないこと
  7. 営業所の要件を満たしていること

建設業の経営業務の管理を適正に行う能力があること

これは建設業を営んでいる法人で取締役を5年以上、
または建設業の個人事業主を5年以上経験していれば認められます。
個人事業主の場合、親が事業主だった場合で
上記以外の条件でも認められる場合があります。
ただし、難易度は一般に高めです。
たとえ相続だたっとしても、要件を満たす必要があり、
無条件に許可が出るものではありません。

適切な社会保険に加入していること

個人事業主の方は社会保険への加入義務がない場合もあります。
ここで気を付けるべきは『適切な』社会保険に加入していることです。
下記表を元にどの保険に加入していなければならないのか参考にされてください。
なお、社会保険に対する相談は社会保険労務士が専門の士業になります。
もし、お知り合いの先生がいらっしゃらない場合、ご紹介させていただきます。

営業所に専任技術者を置いていること

個人事業主の方にとってハードルが高いものの1つが専任技術者の要件です。
専任技術者として認められるには常勤で適切な社会保険に加入している者で、
必要な資格がある、もしくは必要な年数の実務経験があることです。

資格で専任技術者になる

資格の中には免状等があれば実務経験等不要なものと、
免状等取得後に実務経験が必要なものとあります。
どの業種でどの資格が認められるかについてはここでは割愛します。

実務経験で専任技術者になる

個人事業主(1人親方)の場合、実務経験で専任技術者を
目指す方が多いのではないでしょうか?
必要な実務経験の年数は以下の通りです。

  • 指定学科卒業の大卒 3年
  • 指定学科卒業の高卒 5年
  • それ以外      10年

令和5年7月1日から要件が緩和されます。
一般建設業許可の専任技術者要件緩和 – 行政書士藤本啓志事務所 (fujimoto-gyoseishoshi.com)

ここで問題になるのは経験の証明をできるかです。
10年工事に携わっていても認められないケースは多々あります。
よくある質問に他社に一筆書いてもらって証明するのではダメですか?
というものです。
他社経験を証明する際に、その会社に勤務していたことを
証明するためには一筆必要な場合もあります。
しかし、実務経験を証明する書類は契約書、注文書、請書、
もしくは請求書と入金確認書類のセットです。
そして、山口県では1ヶ月に1件のカウントです。
つまり、10年経験の証明では120ヶ月分必要です。
青色申告でも7年が書類等の保存期間とされています。
では、10年分の書類が手元にありますでしょうか?
これはなかなか厳しい問題です。

請負契約において誠実性を有していること
欠格要件に該当しないこと

本記事では詳細を割愛します。
ざっくり言えば不正・不法行為等をしていないか?
反社会的な者でないか?などが問われます。

請負契約を履行するに足りる財産的基礎等を有していること

一般建設業許可において個人事業主で簡易課税型でない青色申告業者
は直前の決算での自己資本が500万円以上あれば大丈夫です。
もしくは、500万円以上の残高証明書において証明します。

営業所の要件を満たしていること

建設業法でいうところの営業所とは請負契約を常時、
締結する場所となっております。
したがって、人がいるだけの詰所等は営業所ではありません。
営業所の要件は以下の通りです。

  • 請負契約締結等の実体的な実務を行う場所であること。
  • 事務所としての備品(例:電話、机、パソコン、各種台帳)などを備えていること。
  • 営業所として使用する権限(所有または賃借)を有していること。
  • 看板、標識等により外部からそこが建設業者の
    営業所であると判断可能な状態であること。
  • 建設業法施行規則第7条第1号に規定する常勤役員等
    (又は建設業法施行令第3条に規定する使用人)
    及び常勤役員等を直接に補佐する者並びに専任技術者が常勤していること。

こちらは建設業許可申請時に併せて証明書類を提出します。
以前は、現地にて営業所調査がありました。
しかし、また復活することがあるかもしれません。

個人事業主(1人親方)が建設業許可を取得する際の注意点

個人事業主(1人親方)が建設業許可を取得しようとしたときに
注意すべき点があります。

  • 申請書類に損益計算書と貸借対照表がある
  • 適切な社会保険に加入しているか
  • 法人化の検討をしたか

申請書類に損益計算書と貸借対照表がある

建設業許可の申請書の中には損益計算書と貸借対照表があります。
個人事業主(1人親方)で確定申告を白色申告や青色の簡易簿記で行っている場合、
申請書類を作成するのに元となる貸借対照表がない場合があります。
確定申告では必須ではないですが、建設業許可では必須です。
決算日の状態がわかる資料を用意して貸借対照表を作成する必要があります。

適切な社会保険に加入しているか

個人事業主(1人親方)で事業を行っているとなかなか社会保険にまで
目が届かないことがあります。
しかし、適切な社会保険に加入することは義務です。
もし、加入漏れの社会保険等があった場合はすぐ加入しましょう。

法人化の検討をしたか

建設業許可は個人事業主(1人親方)でも取得可能なことは
説明した通りです。
以前は個人事業主で建設業許可を取得した後、法人化しようとすると
建設業許可を引き継げず空白の期間ができてしまう制度でした。
しかし、今では法改正されて要件を満たせば個人事業主から法人へ
許可を引き継げるようになりました。
とは言え、最初から法人化してから許可を取得した方が良い場面かもしれません。
それは、各事業者様ごとに経営判断していただくことですので
意見するところではないですが、後悔先に立たずとも言います。
結論はどちらでも大丈夫ですが、法人化するかの検討はした方が
良いのではないでしょうか?

山口県で個人事業主(1人親方)で建設業許可を目指す

山口県で個人事業主(1人親方)が建設業許可を目指すことが
できるとわかりました。
建設業許可を取得することは信用を得ることができ、
さらに、大きく売上を伸ばすチャンスでもあります。
しかし、毎事業年度終了後には決算変更届を提出する義務や
5年に1度の許可の更新申請も必要です。
他にも事務所移転や役員変更などがあれば変更届も必要です。
建設業許可を取得を検討するうえで、メリット・デメリットや
優先順位、どのくらい急ぐのかなどしっかり検討しましょう。
もし、許可取得を目指すとなったら早め早めにしっかりと準備をしましょう。
申請書類は資格で専任技術者の要件を満たす場合でも相当な書類枚数になります。

申請書類についてもう少し詳しく書いた記事
山口県で建設業許可を取りたい!! – 行政書士藤本啓志事務所 (fujimoto-gyoseishoshi.com)

決算変更届について
建設業の事業年度の終了届(決算変更届) – 行政書士藤本啓志事務所 (fujimoto-gyoseishoshi.com)

建設業許可の更新について
【山口県】建設業許可の更新とは – 行政書士藤本啓志事務所 (fujimoto-gyoseishoshi.com)

出来るだけ急ぎたいとき、よくわからないときは行政書士へ

新規建設業許可の難易度は決して低くありません。
事業者様が自社で申請をすると何度も補正指示を繰り返し受けたという
話も耳にします。
やると決めたら早めに準備しましょう。
しかし、建設業許可がないと現場に入れないときなどの急ぎたい時、
または、山口県の手引きを読んでもよくわからない時など
建設業許可が得意な行政書士に相談・依頼するのも1つの手段です。

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