経営事項審査(経審)について
経営事項審査(経審)とは建設業者の経営規模や経営状況などの
客観的事項について審査し点数化する制度です。
公共工事の入札への参加を希望する場合、必須の申請となります。
これは国や地方公共団体等多くの公共工事発注者は、
入札参加資格の認定を行う際に、経営事項審査の結果を利用しているためです。
経営事項審査(経審)の結果は公表される
はじめて経営事項審査(経審)を受けようと思っている方で
忘れてはいけないのは経審の結果は公表されるということです。
決算変更届も土木建築事務所にて閲覧可能ですが、
予約して足を運ぶ必要があります。
しかし、経審の結果はインターネットで検索可能です。
経営事項審査(経審)には有効期限がある
経営事項審査(経審)は審査基準日があり、
これは直前の決算日のことです。
経営事項審査(経審)には有効期限があります。
これは審査基準日から1年7ヶ月です。
ここで気を付けるべきことが3点あります。
- 起算日は結果通知書を受け取ってからではなく審査基準日から
- 公共工事に入札参加を希望する限り毎年受ける必要がある
- 1年7ヶ月以内に結果通知を受ける必要がある
1.起算日は結果通知書を受け取ってからではなく直前の決算日から
よくある勘違いの1つが経営事項審査(経審)の有効期限の起算日です。
結果通知書を受けたときから1年7ケ月と思われる方もいますが、
審査基準日から1年7ヶ月です。
2.公共工事に入札参加を希望する限り毎年受ける必要がある
ある年に経営事項審査(経審)を受けたらよい評価だったから
その評価を使い続けたいと思う事業者もいるかもしれません。
また、手数料が発生しますし、決算変更届に比べると手間もかかり大変です。
ですので、色々な点から1度受けるともうやりたくないと思うかもしれませんが、
有効期限が切れた場合、公共工事の入札を受けることができなくなります。
3.1年7ヶ月以内に結果通知を受ける必要がある
有効期限が1年7ヶ月なのはわかりました。
では、有効期限が切れるまでに申請すればよいのでしょうか?
答えはNoです。
つまり、有効期限が切れるまでに結果通知を受ける必要があります。
期限に余裕をもって申請しましょう。
公共工事の発注者にによって異なりますが、
毎年結果通知の写しを入札をする部署へ提出が必要な場合があります。
例えば、防府市では経審の結果が出たら入札検査室へ提出するように
HPに掲載されています。
逆に、県(山口県)は経審の結果を提出しなくても
経審の結果が出ると自動更新してくれます。
経営事項審査(経審)の流れ
経営事項審査(経審)の流れは下記の通り。
- 建設業許可を受けていること
- 経営状況分析
- 事業年度終了届(決算変更届)の提出(例外あり)
経審を受けるには建設業許可が必要
経営事項審査(経審)は建設業許可事業者が対象です。
公共工事を元請として受注したい場合は
建設業許可を取得しましょう。
しかし、許可を取得していない業種では経審を受けれません。
例えば、管工事でのみ許可を取得している場合、
塗装工事で経審を受けることはできません。
建設業許可がまだの方
⇒山口県で建設業許可を取りたい!! – 行政書士藤本啓志事務所 (fujimoto-gyoseishoshi.com)
経営状況分析とは
経営状況分析とは建設業の決算変更届の財務諸表から
事業者を評価をし数値化するものです。
経営状況分析の結果は経営事項審査(経審)の申請する際に
添付書類として必要となります。
経営状況分析では決算変更届で使用する財務諸表を提出しますが、
土木建築事務所よりも審査が厳しいことがあります。
土木建築事務所で補正がなくとも経営状況分析のところで
補正指示が出ることがあります。
つまり、決算変更届よりも先に経営状況分析を
受けておく方がスムーズに申請が進みます。
経営状況分析機関一覧
⇒建設産業・不動産業:登録経営状況分析機関一覧 – 国土交通省 (mlit.go.jp)
事業年度終了届(決算変更届)の提出
事業年度終了届(決算変更届)は決算後4ヶ月以内に提出が必要です。
経営事項審査(経審)を受ける場合は財務諸表や工事経歴書の書き方が
そうでない場合と異なります。
通常、決算変更届の提出後に経審を受けますが、
新規に建設業許可を取得して決算を迎える前に
経審を受ける際には決算変更届を提出することなく
経審を申請することになります。
経営事項審査(経審)は提出書類が多い
経審は多くの項目を評価し、点数をつけていきます。
したがって、それぞれの審査項目に対して証明するための
書類を提出もしくは提示します。
書類の整合性が大事なります。
また、細かいルールも多く書類作成にかなりの神経を使います。
点数に誤りが生じないよう土木建築事務所も慎重に書類の確認を行います。
つまり、経審は何度も補正指示がある場合があります。
しかし、有効期限がある以上はいつまでも
補正に時間をかけるわけにはいきません。
特に、年末年始が経審の申請時期になる事業者は注意が必要です。
これは、国の入札参加申請である統一資格申請・山口県の入札参加申請・
一部自治体の入札参加申請が年末年始になるため
書類が煩雑になり間に合わなくなる可能性があるためです。
例えば、山口県は1月・防府市は2月が
入札参加資格申請の時期となっています。
自社で難しければ建設業が得意な行政書士へ
山口県内に本店を置く建設業許可業者数は本記事投稿時おいて5,774業者です。
県(山口県)に公共工事の入札参加資格を持つ業者数は1,623業者。
計算すると約30%の建設業許可事業者が経審を受けています。
建設業許可に携わる行政書士は少なくありませんが、
経営事項審査は受ける事業者数が限られることから
経営事項審査をの経験が豊かな行政書士は限られます。
公共工事には参加したいけれど自社で経営事項審査の
書類を作るのは厳しい場合、建設業を得意とする行政書士に
任せてしまいましょう。